序章 7話

Last Updated on 2025年2月3日 by libby03324

次の日、ディナンは前日レヴィに本性を表したことを何も覚えておらず、レヴィから極秘機密データについて問われると「虚空機関を脱退させられた」と嘘をつき、どうにかして残ってくれとレヴィに乞う。

しかしレヴィはその真実を全て知った上で、ディナンからのお願いを聞いた。人形に心を揺るがされているのはもちろんだが、ディナンの言った「俺たちしかお前を雇わない、研究員として認めない」という言葉は正論だったからだ。

レヴィはそれが狡猾な弱者の考えであると自己嫌悪した。力でねじ伏せて全部を見返してやると誓ったのに、理不尽な目にあっても反抗せず、人形の事ばかり考えてメリットもないのにチームに居座り続けているからだ。

チームの人間は本当のレヴィを見ていないし、レヴィの事を人扱いしていないという事はレヴィにもよくわかっていた。しかし、このチームの中でなら外にいるよりかはまだ人としての権利を得られているように感じられたのだ。

7月7日、レヴィは目覚めると六芒均衡のレギアスから絶対令アビスが発せられ、マザーシップに侵入したルビィとその相方の女の抹殺命令が出ていることを知る。

偶然にも絶対令はすぐに解除されたが、レヴィは憎悪するルビィを殺せる絶好の機会が訪れた事に歓喜して正気のままマザーシップへ向かった。

マザーシップへと向かうキャンプシップの中、レヴィは絶対令によって操られたアークスからは迫害されず、共に搭乗席に乗る事が出来た。アークス達のぼんやりとした顔にレヴィは相手が無抵抗であるということに興奮し、ナイフを持ち出して話しかけてみるが、話しかけるとアークス達に掛けられた絶対令の効果が薄くなり、レヴィは憮然とする。

しかし、そのままアークスを殺し、その光景を見て正気に戻ったアークス達をあざ笑ってレヴィはキャンプシップに同乗していたアークスを全て殺しマザーシップに到着した。

レヴィはマザーシップを上機嫌に進んでいたが、そこで新たな六芒均衡であるゼノと遭遇し、ゼノはレヴィの絶対令を解こうとするが、彼女が正気であることに気付くと「レヴィは本気でルビィを殺したがっている」ことを理解する。しかしゼノは彼女に頭を冷やせといって彼女を気絶させた。

レヴィの目が覚めると、ディナンから通信が入る。レヴィが今居るマザーシップは「旧マザーシップ」になっており、その地を呑み込んでダークファルスが復活したのだと言う。ディナンからレヴィが生きていることは奇跡であると言われた上、彼からの頼み事を聞くためにレヴィはチームルームへ戻った。

チームルームに戻ると、ディナンから頼み事の説明をされる。マザーシップにて復活したダークファルスは「【敗者ルーサー】」であり、その正体は虚空機関の総長であるルーサーだった。チームルームが制作を計画し、レヴィが強く惹かれていた人形の正体はルーサーのクローンだった。

そのため、ディナンはルーサーの人格データを必要としていたが、人の体を乗っ取り復活するダークファルスの性質を利用してその器を損傷したダークファルス【敗者】に代わりの肉体として提供し、【敗者】が捨てたルーサー本人の肉体を持ち帰るという方法を思いついたのだ。

レヴィはその実行役となったが、フォトンの使えない最弱のアークスがダークファルスに交渉する事になる任務の上、命よりも任務を達成することが優先される。レヴィはディナンから捨て駒にされているとわかっていながらも反抗せず、作戦を実行する為再びマザーシップへ戻った。

旧マザーシップの中枢部に向かうと、レヴィは【敗者】を発見する。

「……おのれ、おのれアークスども!これほどの屈辱を、僕に、僕に……!」

【敗者】はルビィやアークスによって討伐された直後であり、損傷していた。レヴィが気になっていた人形の見せる表情や目の色をようやく知ることが出来、【敗者】を魅力的に感じていた。

「ふふ……だが、まだだ!僕が!僕さえ残っていれば全知への道は閉ざされない!」

しかしレヴィはそれを隠し、【敗者】に交渉する。【敗者】から見たレヴィは幼げながらエロティックで、なおかつ退廃的な雰囲気を醸し出していた。

「それは……得策じゃない……」

「ふん、僕の策が愚策だと? 貴様は誰だ? 出来損ないのアークスか?」

「……出来損ない、……ダークファルスには……アークスの善し悪しが一目で分かるの?」

「はぁ……何を言っている? この僕以外の全て……アークスは等しくゴミでクズで存在価値のないガラクタに過ぎない。そんな奴らを全員まとめて”出来損ない”だと言っているんだ。貴様だろうが貴様でなかろうが、そんなものは関係ない」

「あ、……えと、……そ、そう? では、わたしから……その、交渉する」

レヴィは【敗者】の言葉にとても驚いた。彼はアークスを見下していたが、「レヴィ」に対して批判をしなかったからだ。しかし、ダークファルスであれば当然かと考えてレヴィは交渉を続ける。

【敗者】は器を変えて永く生きてきた存在。しかし、今肉体を損傷しており器を求めている状態でありながら器として用意していた二代目カスラが謀反を起こしている。

レヴィはその問題を解決出来ると言い、チームから提供されたルーサークローンの器を見せた。

【敗者】は驚いたものの、依り代とする肉体を移すという提案は愚かではないと言う。しかし、それよりもレヴィに移った方が手っ取り早いと【敗者】は言い張ったのだ。

「なんで……馬鹿みたいな考えを選ぶの?」

レヴィはどうにかして【敗者】を説得しようと考えた結果、彼を挑発した。そして無理矢理【敗者】を気絶させ、【敗者】ごとチームへ連れて帰りディナンにその交渉を押しつけようとしたのだ。

「残念だけど……貴方はわたしに憑依することなんて不可能。何故ならわたしは強いから。
……貴方を気絶させて、まとめて連れて帰る」

【敗者】はレヴィがルーサーの肉体を求めている事を理解するとすぐに彼女を嘲笑する。

「は、……どうせそのようなつまらん下心があると思っていた」

 しかし、レヴィは下心の意味を勘違いした。性的な事を揶揄しているのだと勘違いし、自分が散々ルーサーの器を使って自慰行為をした事を思い出して顔が慌てる。

「下心、……そ、……そんな破廉恥なこと言わないでッ!」

「は?」

レヴィは焦ってアイゼンハートを使って【敗者】に攻撃を仕掛けるも、手も足も出ない。それどころか彼の発言の節々を切り取りヘンタイだなんだと罵倒した結果、地面に叩き付けられる。

「無駄なものを……」

「煩い! 大人しくわたしに従えッ……このアホ!!」

「アークス風情が良く吠えるものだ。誰が貴様のような凶暴な野良犬に従う?」

「本当に?」

「……ッ‼貴様、それはまさか……」

レヴィは本気を出してアイゼンハートの力を解放する。【敗者】は彼女の持つ武器が創世器であることを知ると、完全勝利を確信したレヴィのどや顔を無視して新たな解を考えた。

「そうだな、……試算完了。プランを変更する」

そう言うと、【敗者】はレヴィの提案通りクローンの器に入ることを承諾する。しかし、レヴィにも利用価値があると言い出したのだ。

「どうやってその創世器を持ったかは知らないが……器をどこから調達してきたのか、隅々までフォトンのない肉体、その癖ダーカーに侵食されないと豪語する生意気な態度……全て知る必要がある」

そして、レヴィは【敗者】によって気絶させられた。

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